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COLUMN - 医療コラム

NPのための栄養管理・栄養療法

第一回/診療看護師の栄養管理

Written by内橋 恵

『万病に効くクスリはないが、栄養は万病に効く』は栄養を学ぶ人間なら一度ならず聞いたことがある言葉です。今回、NST専門療法士、脳卒中リハビリテーション看護認定看護師の筆者と同じく急性・重症患者看護専門看護師の森みさ子氏が、交互にナースプラクティショナー(以下、診療看護師)の栄養管理に対する役割や視点、具体的な実践など数回に分けて連載していきます。(第二回は静脈栄養、第三回は経管栄養を予定しています)

 

第1回栄養管理は、三大栄養素の必要量に焦点をあてて、診療看護師に期待することです。

はじめに

国立長寿医療医療研究センターの発表によると、高齢在宅療養者は、高齢者の栄養評価スケール(MNA®-SF)を用いた調査の結果、低栄養が36%、低栄養の恐れがある者を含めると約70%でした1)。

また、榎らは低栄養の関連因子に年齢や経口摂取状況、過去3か月の入院歴2)などを報告しています。このことから、疾病を発症し急性期病院に入院した患者は、適切な食事提供が行われていても、摂取量や栄養素の絶対量が不足し、そのまま退院していることが推測されます。そのため入院中の高齢者の低栄養の予防や改善は、健康寿命延伸における喫緊の課題です。

栄養管理と栄養療法

看護における栄養管理は、健康の保持・増進や心身の健全な発育・発達、疾病予防・治療・栄養改善、QOLの向上のため、専門家が適切な栄養補給を行い、評価し、健全な食習慣形成のための栄養教育を行うことと述べています3)。

このことから、栄養管理とは健康や不健康を問わず、人が栄養素を取り込む包括的な方法を表していると考えられます。また、日本臨床栄養代謝学会は、栄養療法を栄養状態の改善に伴う病態の治療を目的として、静脈栄養もしくは経腸栄養を実施し栄養素を投与すること4)としています。これは、栄養療法が栄養状態を改善するために静脈栄養や経腸栄養も用いて栄養素を投与することを示しています。

これらから、対象者の表現に違いはあるものの、栄養素を過不足なく提供し、その結果を観察・評価して、健康的な生活を支援するための手段であることが共通しています。

診療看護師は、栄養管理と栄養療法の両側面から関わることができますね。まず、栄養素の過不足をどのようにモニタリングすれば良いのか考えてみましょう

必要栄養量とは

はじめにでも述べたように、必要量の不足は現疾病の治療だけでなく、身体機能の回復を遅らせます。そのため疾病の把握にプラスして必要量の充足に焦点をあてて観察・評価する必要があります。

一般的な三大栄養素の必要量の算出

  三大栄養素の必要量 60kgの患者の場合
エネルギー 25〜30kcal/kg 1800kcal(体重×30kcal)
たんぱく質 1-1.5g/kg/day 60g/kg/day(1g/kg/day)
脂質 エネルギー比25-35% 50g/day(エネルギー比約25%)
炭水化物 エネルギー比50-60% 280g/day(エネルギー比約60%)

(引用/森みさ子.(2020).看護技術1月号(p.90).メヂカルフレンド社.)

 

次に、患者の食事摂取量から具体的に栄養素がどの程度、充足しているか考えてみましょう。 どちらの食事量も看護師は主食5、副食5として記入します。しかし、栄養素に焦点をあてると大きく違ってきます。 この食事提供はエネルギー約600kcal・たんぱく質21g・脂質17g・炭水化物90です。

 

 

このように必要栄養量は、エネルギー量と栄養素の両側面からモニタリングすることが必要です。

おわりに

医療専門職の中で、最大の人数を擁している看護師は、一人ひとりが観察力や摂取の工夫など質の高い栄養管理を実践することにより、患者の疾病に対する回復力を高めるだけでなく、ADLやQOLにも貢献します。その中でも診療看護師は、その教育背景から、看護学だけでなく、医学教育や特定行為を修めているので治療(=栄養療法)という観点からも患者に関わる事が可能です。 本連載は、看護師の声が届きやすい診療看護師が、患者の栄養改善のためタイムリーな介入につながる内容となるものをお届けしていきます。

引用・参考文献

 

  1. 国立長寿医療研究センター.(2013).平成24年度老人保健健康増進等事業 在宅療養患者の摂食状況・栄養状態の把握に関する調査研究報告書.https://www.ncgg.go.jp/ncgg-kenkyu/documents/roken/rojinhokoku4_24.pdf(検索日2020年1月23日閲覧)
  2. 榎裕美,杉山みち子,井澤幸子,廣瀬貴久,長谷川潤,井口昭久,葛谷雅文.(2014).在宅療養要介護高齢者における栄養障害の要因分析the KANAGAWA-AICHI Disabled Elderly Cohort(KAIDEC) Studyより.日本老年医学会雑誌,5(6),547-553.
  3. 栄養管理.(2015).井部俊子,箕輪良行(監).看護医学事典(第7版増強版)(p.87).医学書院.
  4. 日本静脈経腸栄養学会(編).(2017).栄養療法の選択基準.静脈経腸栄養テキストブック(pp.192-195).南江堂
  5. 森みさ子.(2020).病棟看護師が担うリハビリテーション栄養.若林秀隆(編),看護技術1月号.(p.90).メヂカルフレンド社
Written by内橋 恵

Nurture 代表/脳卒中リハビリテーション看護認定看護師・NST専門療法士


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